まずはこんな実際のお話から…。
ニックという6歳の男の子がいました。彼は「遺糞症」といって、トイレではないところで排便したり、それを壁に塗りつけたりという症状を抱えていました。いろんな人が治そうとしましたが、なかなか改善しません。そんな中、あるカウンセラーがこんな提案をしました。「ニックの症状は“スニーキー・プー”の仕業だと考えましょう」。それから、症状は大幅に改善していったそうです。
もちろん“スニーキー・プー”というのは架空の存在です。これは、ニックが問題児なのではなく、症状そのものが問題なのだという発想です。ニックは「問題児」から「“スニーキー・プー”に立ち向かうヒーロー」に。彼の両親は「ニックを変えなくてはいけない」から「“スニーキー・プー”を退治しよう」という考え方に。つまり、本人と家族が一緒に問題に立ち向かっていく、という構図になったわけです。
この考え方を「問題の外在化」といいます。そしてこれと似たものがなんと今子どもに大人気! そう、あの妖怪アニメのテーマソングです。寝坊したり、フラれてしまうのは、妖怪のせい。ある日嫌いなピーマンを食べることができたけれど、それも妖怪のせい。悪いことも良いことも、全て妖怪の仕業だとされています。ちなみに、数年前に大流行し、最近続編も出たようですが、やっぱりいろんなことが妖怪の仕業になっています。
「全部自分だけの責任じゃない」と考えることで、人はだいぶ楽になります。全部周りのせいにするなんて無責任? …いえいえ、そんなことはありません。誰かに責任を求めて傷つけて、自分が背負って潰れてしまって、でも問題は解決しない、なんて方がよっぽど怖いんですから。「お寝坊妖怪はどうやったら退治できる?」「ピーマン大好き妖怪はどうやったらもっと出てきてくれる?」…妖怪のせいにして、楽しく解決に取り組んでみましょう♪
【担当心理士:M】